肩こり頭痛(緊張型頭痛)
緊張型頭痛は、頭痛の中で最も頻度が高いタイプで、頭の周りを締めつけられるような鈍い痛みが特徴です。ストレスや姿勢の悪さ、長時間の作業などが原因となり、首や肩の筋肉の緊張が引き金になることが多いとされています。
主な症状
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頭全体、または後頭部から側頭部にかけての締めつけられるような痛み
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痛みの強さは軽度〜中等度で、日常生活は続けられることが多い
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吐き気や嘔吐は少なく、体を動かしても痛みが悪化しにくい
- 光刺激や音刺激で頭痛は増悪しない
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肩こりや首のこりを伴うことがある
原因と誘因
筋緊張型頭痛は、以下のような身体的・精神的ストレスが複合的に関与すると考えられています。
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長時間のパソコン作業やスマホの使用による姿勢の悪化
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精神的ストレスや疲労
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睡眠不足
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噛みしめや歯ぎしりなどの顎関節の問題
診断と治療
診断は、症状と病歴に基づいて行われ、必要に応じて他の病気を除外するための検査(MRIなど)が行われることがあります。
治療には以下の方法があります:
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鎮痛薬(例:アセトアミノフェン、NSAIDs)の使用(※常用は薬物乱用頭痛の原因になるため注意が必要です)
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ストレッチや運動療法
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ストレスマネジメントや認知行動療法
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場合によっては筋弛緩薬(筋肉を緩めることで頭痛の改善につながる場合があります)や抗うつ薬(抗うつ薬には痛み止めの効果を持つものがあります)が処方されることもあります
予防のためにできること
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パソコンやスマートフォン使用時の姿勢に注意
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定期的な休憩やストレッチ(特に肩周囲)
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睡眠リズムを整える
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ストレスをためこまない工夫(リラクゼーション、趣味、カウンセリングなど)
参考文献
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Olesen J et al. The International Classification of Headache Disorders, 3rd edition (ICHD-3). Cephalalgia. 2018;38(1):1–211.
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日本頭痛学会. 『頭痛の診療ガイドライン2021』. 医学書院, 2021.
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Bendtsen L. Central sensitization in tension-type headache—possible pathophysiological mechanisms. Cephalalgia. 2000;20(5):486–508.
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日本神経学会. 『神経治療学』, 2020年版特集「一次性頭痛の診断と治療」より。